vol.6 データはどうやって書き込むの?

2013/02/16

記録媒体の構造を見てきましたが、実際にデータの書き込みはどのように行われるのでしょうか。ここでは、HDDを例に挙げながら具体的なデータの書き込み方法について見ていきます。

HDDの場合、データ保存に利用される磁気ディスク、いわゆるプラッタが数枚(4枚程度)あり、スピンドルモータと呼ばれる回転軸上に設置されています。このプラッタの表面に磁性体となる磁気材料を塗布することで、情報を記録するための磁性層と呼ばれる層が作られています。この磁性層に対してデータを読み書きするのが、スイングアームの先端に取り付けられた磁気ヘッドです。この磁気ヘッドはコイルで形成されており、幅はわずか0.2mm以下という小さな代物。このコイルに電流を流すと磁力線が発生し、スピンドルモータによって高速回転しているプラッタ表面の磁性層に磁気パターンを書き込むようになります。なお、スピンドルモータの回転数は、5400rpm(revolutions/rotation per minute:1分間の回転数を示す単位)や7200rpm、1万rpm越えのものまであり、回転数が高いほどデータの読み書きスピードが速くなりますが、消費電力も回転音も大きくなってしまいます。

具体的に「書き込む」とは、磁気ヘッドから出る磁力線によって磁性層にある磁性粒子を磁化することでOと1として記録することです。つまり、磁性層に存在するたくさんの磁性粒子(磁石)の方向をSN、NSの向きに変化させることで「0」「1」として認識します。

ちなみに、磁気ヘッドで発生させる磁性線はかなり微弱なため、磁気ヘッドとプラッタはできる限り近づける必要があります。しかし、ディスクヘッドは完全な平面でないばかりか、ただでさえ高速で回転しているプラッタに直接接触させてしまうと、摩擦でディスクを破壊してしまう可能性もあります。そこで現在のHDDは、ディスクの回転によって起こる気流を利用して磁気ヘッドを浮き上がらせるような構造になっています。このことからもわかるように、HDDが回転している最中に衝撃を与えるのは、非常にリスクが高いことがお分かりいただけるかと思います。

なお、この構造は1973年にIBMが発表したIBM 3340磁気ディスク装置が原型となっており、このときの開発コードネームから「ウインチェスター型HDD」と呼ばれるようになりました。