vol.8 バックアップの手法あれこれ

2013/03/18

ここで、バックアップの手法について見ていきます。大きく分けて、バックアップには3つの手法が挙げられます。「ファイルバックアップ」「イメージバックアップ」、そして「CDP(Continuous Data Protection)」と呼ばれるものです。

ファイルバックアップは、NTFSなどOSのファイルシステムを利用して、任意のディレクトリやファイル単位にデータをバックアップする手法です。WordやExcelなど日々生み出される情報が格納されているデータ領域のバックアップとして広く活用されています。基本的にはファイル単位にバックアップを取得します。

しかし、ファイルバックアップでは、OSやアプリケーションなどが保管されている「システム領域」のバックアップは対象となっておらず、リストアする際にはOSやアプリケーション環境をリストア先のコンピュータにインストールしてから、データ領域の情報を戻してあげる必要があります。そのため、復旧までに多少時間が必要になります。

そこで新たに登場したのが、イメージバックアップと呼ばれる手法です。イメージバックアップは、ディスクに書き込まれているビット列をそのまま複製することで、システム領域やデータ領域を含めて丸ごとバックアップすることが可能な仕組みです。ディスク全体をイメージで取得することでバックアップそのものの時間は必要になりますが、ファイルバックアップに比べてシステム復旧までの時間を大幅に短縮できます。

しかも、イメージ全体を取得するためにファイル単位など特定部分だけのリストアが難しかったイメージバックアップですが、現在ではイメージ取得時にインデックス情報をあわせて作成しておくことで、ファイル単位やディレクトリ単位でリストアすることが可能となっており、専任の担当者を配置できない中堅中小企業を中心に幅広く利用されています。

他にもCDPと呼ばれるバックアップ手法があります。CDPは、バックアップ対象のコンピュータにエージェントを常駐させ、ディスクの更新状況を常に監視します。そこで変更や追加が発生した際にリアルタイムでバックアップするという手法です。他の手法が1日を単位にしてバックアップを取得するのに対して、設定次第では1秒単位でバックアップデータを取得することもCDPなら可能です。ただし、ネットワークやコンピュータに対する負荷は他の方式に比べて高くなるため、よりクリティカルなデータ保護が必要な場合に有効な手法となります。