vol.7 どうやってデータをバックアップするの?クラウドストレージ編
これまでは、磁気テープやバックアップアプライアンスを用いる方法を見てきましたが、新たなバックアップ先は他にも挙げられます。最近話題になりつつあるのが、クラウド事業者が提供しているクラウドストレージ上にバックアップデータを複製、保管する方法です。この方法は、「Disk to Disk to Tape」に対して「Disk to Disk to Cloud(D to D to C)」と呼ばれます。
クラウド事業者が提供しているオンラインストレージには、例えばMicrosoftが提供する「Windows Azure Platform」をはじめ、Amazon提供の「Amazon Web Services(S3)」、ニフティの「ニフティクラウドストレージ」、NTTコミュニケーションズの「Bizホスティング Cloudn Object Storage」などが挙げられます。これらのオンラインストレージをバックアップ先として利用することでD to D to Cが可能になり、磁気テープやバックアップアプライアンスの運用から解放されます。
すでにバックアップツールの中には、各クラウドサービスとのAPI連携を実現している製品も登場しており、バックアップデータの優先度や緊急度に応じてバックアップ先を選ぶことができるようになっています。例えば、頻繁に更新したり利用したりするデータに関しては自社内(オンプレミス)上のバックアップアプライアンスへ、長期保管のアーカイブニーズ、つまり頻繁にアクセスしないデータに関しては磁気テープに落したりオンラインストレージへ保管したりなど、様々な使い分けが可能になっています。
ただしオンラインストレージを利用する場合、イーサネットで繋がれたLAN環境ではなく、インターネットなどを経由して利用することが多く、通信回線の速度がどうしてもLANに比べて遅くなる傾向にあります。バックアップはもちろん、万一のリストア時には多くの時間が必要になることは念頭に置いておきたいところです。
なお、一般の方に利用されている「Dropbox」や「SugarSync」「Google Drive」「Sky Drive」といったオンラインストレージサービスは、複数の端末で同期できることが可能なサービスとして人気を集めていますが、企業内のバックアップデータを保管する先とはなりにくいようです。