vol.6 どうやってデータをバックアップするの?バックアップアプライアンス編

2013/03/16

磁気テープを使ったバックアップは、バックアップ対象となるコンピュータとは別の場所に移動させることが可能な可搬性を備えたメディアを利用する方法であり、一般的なバックアップ手法となっています。しかし、バックアップデータが増えればテープの世代管理が大変になるばかりか、遠隔地へのテープ搬送が頻繁に発生することでコスト増に繋がり、より多くの保管スペースを確保しなければなりません。つまり、扱うデータが増えれば増えるほど、磁気テープの運用管理に多くの時間と手間がかかり、最終的に膨大な費用が必要になってしまいます。

そこで最近では、ネットワークに直接接続できるNASなどのストレージアプライアンスとは異なる、バックアップ専用のアプライアンス装置が登場し始めており、人気が高まっています。一般的なNASの場合は、Windows Storage Serverなどのストレージ専用OSが搭載されたハードウェアとなっており、データを保管するためのファイルサーバとしての機能が備わっています。しかし、バックアップに関連した機能は含まれていません。

対してバックアップアプライアンスは、ディスク自体の可用性を高めるためにRAIDが採用されており、ベンダ独自のOSが備わっているストレージです。データの重複をチェックしてストレージ容量の無駄を省く重複排除機能やデータの圧縮機能をはじめ、バックアップツールが持っているスケジュール機能など、バックアップデータを格納するための機能が豊富に備わっています。このバックアップアプライアンスは、一般的なバックアップツールとはAPIによって連携します。代表的な製品としては、EMCジャパンが提供している「EMC Avamar」やデルの「Dell DR 4100」「DL2300」などがこれに該当します。

なお、NASを利用してバックアップを行う場合は、NASのディスクへデータを複製した後に可搬性のある磁気テープに再度複製し直す「Disk to Disk to Tape」という環境が必要でしたが、バックアップアプライアンスでは、遠隔地に同様のアプライアンスをもう1台設置することで、アプライアンス同士でデータの複製を行うことができます。前日複製したデータから変更のあった差分データのみをバッチ処理で転送することで、遠隔地にバックアップデータを保管しておくことが可能になります。変更後にすぐ複製するレプリケーションとは異なり世界管理を行うことができ、遠隔地にテープを保管することと同様のことが実現できます。