HDD寿命診断と故障未然防止策と故障した時の対処方法
パソコンなどあらゆる電子機器に内蔵されているHDD(ハードディスクドライブ)には、利用できる期間となる「寿命」が存在します。よく当たり外れと言われるようにHDDの「寿命」は同じ商品でも異なることがあり、知っておきたい「故障するまでどれくらい使えるのか?」の目安と故障の予兆などを紹介します。HDDはいつか必ず壊れてしまうものなので、故障に備えた知識をおさえて対処しましょう。
HDDの寿命は1万時間(使用期間3~4年)が目安
HDDの寿命目安の考え方
HDDの寿命目安は、どこのメーカーのものでも大体「1万時間」とされています。1日8時間使う人で3~4年持つという計算になります。メーカー保証が大体3年なのもこのためでしょう。しかし、HDDの寿命はパソコンの使用時間が大きく関係してくると言われ、たまに使う程度の人であれば10年以上持つケースもありますし、1日中稼働させているケースでは1年以内に壊れることもあります。個体差もありますが、少しでも長く持たせたいと考えるのであれば、パソコンを使わないときは電源を切るなどHDDに負荷をかけない使い方をするようにしましょう。また、HDDは衝撃や熱に非常に弱いので、乱暴に扱ったり、暖房が効きすぎた部屋や真夏に冷房の無い部屋で使うことも控えた方が良いでしょう。
いずれにしても「HDDは消耗品」であるということを常に念頭に置き、こまめにバックアップをとることを心がけ、内蔵と外付けを用途別に使い分けるなど工夫しましょう。
HDDとSSDでは寿命は違うの?
一般的に、HDDよりSSDは寿命が長く、5年以上持つと言われています。SSDの方が寿命が長い理由として、HDDのように内部にモーターがない分、衝撃に強く、壊れにくいことが考えられます。しかしながら、SSDもメリットばかりではありません。SSDは静電気などの電気的な影響を受けやすく、書き換え回数にも上限があり、何度もデータを書き換えると寿命も短くなります。また、使用していなくても長期間放置すると経年劣化しデータが全て失われることもあるので注意が必要です。HDDと同様、定期的にバックアップを取るようにしましょう。
HDDの壊れる原因を知ろう
長年使用して経年劣化する理由は不良セクタが多い
不良セクタとは、HDDが経年劣化や衝撃や振動が与えられたことで損傷し、記録面の磁力が劣化してデータの読み書きが出来なくなる現象のことを指します。通常、ディスクが傷付くなどして不良セクタが発生しても、HDDは予備の領域(代替セクタ)を使って読み書きの代替処理を行います。しかし、この予備領域にも許容量があり、これを超えてしまうとHDDの処理動作が遅くなったり、頻繁にエラーが起きたり、フリーズしたり、異音がしたりと、誰にでもわかる不具合が発生するようになります。このような症状が出始めたらHDDの劣化が進行している証拠で、故障の前兆と言えます。この状態を無視して使い続けると「ある日突然動かなくなった」という最悪のケースに陥る可能性が高いので注意が必要です。
HDDは繊細だから振動、高熱、物理破損も心配
HDDは私たちが考えている以上に繊細で、ちょっとした振動や熱でも故障してしまうことが多々あります。また、HDD内の部品劣化や磨耗など、経年劣化での故障も避けることはできません。いきなり動かなくなって修理も不可能だったというような最悪の自体を避けるためにも、こまめにバックアップをとるようにしましょう。
HDDを使用する際に私たちが注意できることは以下の通りです。
- 叩く、落とす、頻繁に持ち運ぶなど、振動や衝撃を与えることを避ける
- 直射日光の当たる場所(特に夏は故障が多いと言われている)、湿度の高い場所に置かない
- 購入する際に、冷却ファンが装備されているか確認する(古いタイプのパソコンや、格安のもの、薄型タイプのものには付いていない場合がある。冷却ファンがないと熱暴走で故障しやすい)
- 使わないときはこまめに電源を落とす
HDDの壊れる予兆を知ろう
繰り返し「日頃からのこまめなバックアップ」すすめる理由のひとつとして、HDDはどんなに意識していても、ある日突然動かなくなるということが多く、修理に持ち込まれるHDDのほとんどは「壊れた後」のものです。
ここでは、「HDDの壊れる予兆」をしっかり学び、壊れる前に修理、もしくは交換できるようにしましょう。
普段感じない違和感がポイント
HDDの壊れる予兆を知るポイントとして「あれ、いつもと違うな?」という違和感が挙げられます。具体的によく見られる症状をソフト面、ハード面に分けて、いくつかご紹介します。
壊れる予兆(ソフト面の症状)
- OSの異常を知らせるブルースクリーン(青い画面になって白い英文が表示される状態)がよく出る
- 以前に比べて起動するのが遅い、動作が重い
- HDDのフォーマットを要求する文が表示される
- ファイルをコピーしようとするとエラーになったり、保存できなかったりする
- いつもは開くソフトやファイルが開かない
壊れる予兆(ハード面の症状)
- HDDのアクセスランプが常時点灯している
- いつもと違う異音がする(カシャ、キーンという金属音や、カチカチ、ガリガリ、ブーンという音など)
- HDDが急激に暑くなり、煙や焦げ臭い匂いが発生する
- 頻繁にスキャンディスク、再起動される
- 急に電源が落ちる
- 起動するとエラーメッセージが表示される
「S.M.A.R.T.」情報を見て健康状態を確認
S.M.A.R.T.とは、HDDの障害や故障の早期発見・予測をするための「自己診断システム」で、現在製造されているHDDには標準搭載されています。リードエラーレート、電源投入回数、使用時間など、目に見えないHDDの情報が数値化して表示されます。
このS.M.A.R.T.情報をWindows上で簡単に見られるようにするためのソフトは数多くありますが、最もメジャーと言えるのが「CrystalDiskInfo(クリスタルディスクインフォ)」です。このソフトは無料でインストールすることができます。このソフトで表示したS.M.A.R.T.情報の中で、特に注意して見るべき項目は以下の通りです。
温度
HDDが熱に弱いということは、先でも紹介した通りです。ここで表示された温度が35~45度であればひとまず熱暴走を起こしている心配はないと言えるでしょう。50度以上を示すようであれば熱暴走で故障する可能性もあるので、HDDを冷やす対策をして下さい。
05 代替処理済のセクタ数
読み書きができなくなって、代替処理された不良セクタの数を示します。この時に見るべきは「生の値」です。この数値がどんどん増えていくようであれば、注意信号です。早めにバックアップをとり、HDDの交換も視野に入れましょう。
C4 セクタ代替処理発生回数
代替領域へのデータ移行を試みた回数を示します。代替処理に失敗した回数も含まれています。
C5 代替処理保留中のセクタ数
読み書きはできるが、不安定な状態になっているので、その部分を記憶し様子見(保留)している数を示します。この状態が再び発生した場合は、代替処理が行われます。「05 代替処理済のセクタ数」と同様に、この数が短期間で増加する場合は故障の可能性もあります。
C6 回復不可能セクタ数
代替処理では対応しきれず、読み込めなくなったセクタ数を示します。ここで表示された「生の値」が1以上の場合は、非常に危険な状態です。
HDDが故障して大切なデータが読み取れなくなったら
HDDが本当に故障したか確認すべきポイント
以下のような現象が起こった場合はHDDの故障が考えられますので、弊社をはじめとするデータ復旧専門業者に相談することをオススメします。
- パソコンから「ガリガリ」など、通常とは違う異音がする
- 今まで問題なく開いていたファイルが開けない、読み込めない
- 起動中のまま、それ以上先に進まない
- 起動時にエラーメッセージが表示される
- パソコンを使用していると突然ブルースクリーンになり、メッセージが表示されて操作できない
- パソコンが勝手に再起動を繰り返す
HDDのデータ復旧は専門業者にまず相談することがオススメ
パソコンを使用していると、前触れもなく思いもよらないトラブルに見舞われることがあります。その際に、自分で何とかしようと分解してしまったりすると、データの復旧が不可能になるばかりか、パソコン自体の故障にも繋がります。また、パソコンの健康状態を知るS.M.A.R.T.情報は、あくまで「目安」でしかありません。安易に大丈夫だと判断するのではなく、いつもと違う異変を感じたら、しっかりとした知識・知見のあるデータ復旧専門業者にまず相談して、症状を確認することが大切です。
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