可搬型半導体メモリの障害・データ復旧

メディア解説:可搬型半導体メモリ:可搬型半導体メモリの障害・データ復旧

アメリカのデータ復旧会社が2013年に発表した調査結果では、可搬型半導体メモリのデータ消失の原因の約2/3が物理障害、残りが論理障害であった。障害の内容で一番多いのが、電子・電気的な障害であり全体の31%、水没などの水に関連するものが23%、物理的な破壊が10%、論理障害に分類される障害では、誤消去などが23%、作業中のエラー発生などによるソフトウェア起因の障害が7%、パスワードロックなどが6%となっていて、同じ半導体メモリを記憶素子として使用するSSDと比較すると、電気・電子的な原因は約半分に低下しているがトップの座を占めていて、その中でも「ファームやシステムエリアに書かれている情報の障害」が一番多いのもSSDやHDDと同じである。「ファームやシステムエリアに書かれている情報」については「SSDの障害・データ復旧」の項に詳細を記載しているので、ここでは省略するが、これらは現在の記憶媒体の設計方針に起因していると推定できる。設計方針とは、製造メーカの熾烈なコスト競争に起因するのであるが、製造上避けて通ることの出来ない「不良」を減らし、「廃棄することなく使いこなす」手法で、部品の“ランク分け”や“組み合わせ使用”であり、HDDでは、“磁気ヘッド”と“プラッタ”のマッチング、SSDや可搬型半導体メモリでは、“メモリチップ”と“コントローラIC”のマッチングであり、実際のマッチングの最適化の役目を担っているのがコントローラICに書き込まれている“ファーム”である。製造上のマッチングの具体的な例は、「同一メーカの同一型番の同一容量のUSBメモリやSDカードであっても、製造ロットが違うと、コントロールICや基板は同一であるが、搭載しているメモリチップの数が同一とは限らず、異なるファームが使用されていて、部品を乗せ変えたりしても互換性が存在せず、動作しない」が最も多く経験されている現象であろう。そして、可搬型半導体メモリの場合、接続用コネクタの端子が“剥き出し状態”で露出しているので、コントローラICを介して繋がっている“メモリチップ”よりも、“コントローラIC”の方が外部からの静電気などによって破壊される頻度が高いのが宿命となっているので、「ファームやシステムエリアに書かれている情報の障害」が一番多いのも当然といえる。

可搬型半導体メモリのデータ復旧

①コントロールICが壊れていない場合

この場合は、HDDの論理障害の場合と同じように、コントロールICを介して読み出したデータに対して論理処理を行う。

②コントロールICが壊れている場合

使用されていたコントロールICと互換性を持つコントロールICの搭載されている基板にメモリチップを載せ替えたり、逆にコントロールICの載せ替えを行うことでデータの復旧作業を行うのが当たり前だったが、最近は専用の設備・装置を使用してメモリチップから“生データ”を直接回収し、コントロールICの詳細な働きと、実際に使用されているファームの詳細内容を、専用の設備・装置を使ってエミュレートして、データファイルに復旧させることが可能な場合もある。但し、これはファームの内容が確実に把握できていることが条件であって、現実にはファームの種類が非常に多いため、どのデータ復旧業者でも可能であることではなく、またどのメーカのどの機種でも可能ということでもない。また、最近はマイクロSDのようにコントローラとメモリチップがワンチップ化されていて、外部からメモリチップへの直接アクセスすることが出来ず、残念ながらデータ復旧は全く不可能なケースも存在する。これらはSSDの場合と全く同様であるといえる。