NASの構造・データ復旧

メディア解説:NAS:NASの構造・データ復旧

一般的に“LAN接続の外付けHDD”と呼ばれる事の多いNASは、本来の呼び方は“Network Attached Storage”なので、当然内部に“CPU”や“メインボード”が入っていて、HDDにも“OS”がインストールされているパソコンに近い製品なのだが、それを正しく意識して使っているユーザの比率が少ないことが特徴となっている。

CPUやメイン(マザー)ボードは、NASの用途がファイルサーバに限定されているので、パソコンのような高性能は必要でないため、比較的小さなCPUと機能に特化したコンパクトなメインボードが使用されている。OSは、Linux系のOSが中心に使われているが、機種によっては例外的にWindows系のOSを使用しているものもある。その理由は、Linux系が基本的に無料で使用できるのに対し、Windows系の場合はライセンスが有料であるため、本体価格への影響度合いが大きく無視できないためである。HDDは、当然OSがインストールされているシステムファイル専用のパーティーションと、ファイルサーバとしてユーザデータを保存する十分に記録容量を持つパーティーションを併せて持つことの出来る大型のものを搭載し、HDDの数は、家庭用の製品でも1台とは限らず、2台、4台と複数台数搭載する記憶容量の大きなものまで存在し、複数台のHDDを搭載している場合は、高速化を目的とした“RAID0(ストライピング)”、データのバックアップ機能を持たせるための“RAID1(ミラーリング)”や、その“RAID0”と“RAID1”を組み合わせて両方の特徴を生かそうとする、“RAID01”や“RAID10”、冗長化を目的とした“RAID5”、“RAID6”、全てのHDDの容量を合計した1台の巨大論理HDDとして動作させる“SPAN”などを、用途に合わせてユーザが選択・設定が出来るようになっているものが多い。ファイルシステムは、OSがLinuxの場合、HDD2台搭載まででは“EXT-3”や“EXT-4”、HDD4台の場合は、“XFS”を使用している例が多く、Windows系の場合は、当然“NTFS”となる。

データ復旧業者から見た場合NASのユーザは、パソコンと異なりパソコンやLANなどのネットワークやシステム管理に関する知識をある程度持っている場合が多いのだが、それでも間違った取り扱いをした結果が障害の原因となっている面があることを否定できない。特にAC電源をOAタップなどで接続していて、本体の電源スイッチではなく、OAタップ側で電源操作を行い、NASを強制終了してしまったと思われる、“システム情報の損傷による「論理障害」”多く見受けられる。このような場合に、ユーザデータだけを回収しようとして、筐体から外したHDDをUSB接続ケーブルなどでパソコンに接続し、ファイルのコピーを試行しても、ファイルの存在が確認出来ず断念している例を見かけるが、NASに使用されているOSがLinuxの場合はファイルシステムがEXTやXFSであって、Windowsが対応していないので、パソコンをLinuxで起動するか、Windows上でそれなりのツールを用意することが必要なことが知られていないことが原因である。

また、過去に実在した“データ復旧のお得意様”の例では、小規模な事務所で、スタイリッシュなNAS数台を、ぴったり並べて使用しているため、「夏になると毎年定期的に来訪するお客様」が存在したが、外付けHDDのみならず、Wi-Fiルータなどでも、製品の側面や上面などからの放熱も含めた温度設計がされているため、隙間なく並べてしまうと放熱面積が不足して過熱状態となり、障害を引き起こす原因となるので設置するときに放熱空間を意識的に用意することが必要と説明したら、翌年から障害の発生が予防された実例もある。また、この放熱のための冷却ファンの設置や、内部の通風経路の確保が障害発生頻度の改善を目的に行われた、NAS製造メーカとデータ復旧業者の意見交換会によって製品の故障率を大幅に減少させたポイントでもある。