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【磁気テープ】障害・データ復旧

メディア解説:磁気テープ:障害・データ復旧

磁気テープ(ドライブ)の信頼性はHDDに比べて高く、また用途はバックアップが主体であるためドライブに対する負荷がそれほど高くないと言う特徴があるため、ドライブの故障が原因となるデータ障害の件数はそれほど存在するものではなく、データ復旧業者の中でも磁気テープを取り扱う業者の数は限定的であり、実際に持ち込まれる傷害においても、人為的ミスが比較的多い状態であることもまた磁気テープの特徴であるともいえる。

テープドライブの障害

テープドライブの障害の中で頻度の高いものは、読み出しヘッドの物理的な位置や姿勢に起因するもので、磁気テープのデータの書き込まれているトラックの幅が、HDDのトラックと比較すると幅が広いために、ヘッドのトラックに対する位置(アライメント)のずれだけでなく、ヘッドの傾き角度(アジマス)の変化による影響が大きいことが挙げられる。

固定ヘッド

固定ヘッド型の磁気テープドライブのデータは、テープの長手(走行)方向に連続して書き込まれるが、幅が広いので複数のトラックを設置して、ヘッドの位置(高さ)を移動してテープを往復させることで、テープ上の複数のトラックに順番にデータを書き込むように設計されている。このために経時変化などによって、ヘッドの高さや傾きが変化してしまい、過去のデータが読み出せなくなることがある。

ヘリカルスキャン

ヘリカルスキャン型のデータの書き込みは、テープの走行方向に対して斜めに取り付けられた、モータによって駆動されるヘッドドラム上の2個の書き込みヘッドによって、テープを斜めに横切る不連続のトラックに書き込まれるように設計されている。このために、経時変化などによってヘッドドラムモータの軸受けに磨耗が発生したり、テープの送り速度に誤差が生じたりすると、テープに対するトラックの角度が変化してしまい、データの読み取りが不可能になってしまうことがある。古いVHSなどのテープに書き込み記録するVTRの画面の上下にメダカが泳ぐように発生する“画面ノイズ”は、デジタルデータの場合では“リードエラー”に当たる。

人為的ミス

人為的ミスによる障害で最も多いのは、誤使用による上書や初期化(フォーマット)であるといえる。磁気テープドライブの特徴は、HDDと違い固定式消去ヘッドの存在であり、その消去ヘッドはヘリカルスキャン型でも固定ヘッド型でも、個別のトラックに対応するのではなく、複数のトラックやテープ全幅を一挙に消去する方法になっていることが多い。このため、誤って上書や初期化を行うと、複数(全)トラックに対する誤消去となってしまう。また、ほとんどの機種において、テープドライブの動作はプログラム化されたロジックコントロールで行われているため、上書されたデータの後ろに存在する、必要なデータを読み出そうとしても、[EOF(End of File)]や[EOT(End of Tape)]を検出するとドライブが読み取り動作を中止してしまうため、テープ上にはデータが存在しても「読み出す術が無い」状態に陥ることである。極一部のデータ復旧業者では、特定の機種に限り、ドライブメーカの協力を得て、特殊な動作プログラムをもつドライブを所有している場合もある。また特殊な手法として、テープの部分的な切り貼りや、穴を開けることで[EOF]や[EOT]を除去して、後ろのデータへのアクセスを可能にしてデータを回収している場合もあるが、その方法は企業秘密とされ、それらの加工を行ったテープが返却されることは全く無いといえる。