HDDのトラブルはなぜ発生するのか?その主な原因とデータ復旧方法

HDD(Hard Disk Drive、ハードディスク)のデータ復旧とは、ハードウェアの故障や人為的ミスによりデータにアクセスできなくなった、または消失してしまったHDDから、必要なデータを抜き出す作業のことを指します。HDD復旧は専用ツールやクリーンルームなどの設備が必要なことに加えて、個人利用のPCから企業の大規模サーバーまで幅広く対応するための専門知識、また様々な症状に対応できる職人的な技能も要求される高度な技術です。

ここでは、HDDトラブルの原因や予防方法を見ていくとともに、実際に行われるデータ復旧の流れについても紹介していきます。

HDDに発生するトラブルの種類と主な原因

PCからサーバーまで、HDDに生じるデータ消失トラブルは年間72万台に

日常的に扱うPCや外付けHDD、さらにはNAS(ネットワークHDD)やサーバーなど、多くの環境でデータ保存やシステムにHDDが用いられています。多く使われているだけにHDDに起因するトラブルもかなりの数になります。
日本データ復旧協会(DRAJ)の調査では、国内で2015年中に、データ復旧の依頼をせずに、もしくはデータ復旧サービスを知らないがためにデータを消失したPC・外付けHDD・サーバーの台数は約72万台にも上ります。
トラブルの種類としては、ユーザー自身がファイルを誤って削除してしまった、外付けHDDを認識しなくなった、HDDから異音がするといった分かりやすい例だけでなく、一見するとHDDの障害であることが分かりにくい例も存在します。

例えば、

  • PCが突然フリーズして起動しない
  • 特定のファイル/フォルダを開くことができない
  • OSの起動画面で止まってしまう
  • ファイルサーバーとして使っていたNASにアクセスできない
  • 停電後、RAID構成のファイルサーバーにアクセスできない
などのトラブルも、HDDに起因するものであることがよくあります。

使用人数が多い業務用サーバーの障害の場合、業務が停止してしまうなどの深刻な被害が出ることがあり、早急なデータ復旧が求められます。

以下のページでは障害の症状として多いものの中から一部を紹介しています。
アドバンスデザインのデータ復旧事例に見るデータ消失の症状例

データ消失の原因はハードウェアの故障が4割を占める

では、こうしたHDDにおけるデータ消失トラブルは、どのような原因によって生じているのでしょうか。
アメリカのデータ復旧会社が2011年に発表した調査結果によると、次のような内訳になっています。

  • ハードウェアの故障: 40%
  • 人為的ミス: 30%
  • ソフトウェアの故障: 18%
  • コンピュータウイルス: 6%
  • 天災・災害: 6%

全体の4割と圧倒的な割合を占めるのがハードウェアの故障にですが、これはHDD自体が可動部分の多い繊細な機械であること、経年劣化の発生する消耗品でありながらもユーザーによるメンテナンスができない機械であることに由来します。
また、全体の3割が人為的ミスであることにも注目すべきでしょう。

HDDに生じる主なハードウェア故障の内容は?

アドバンスデザインがこれまで手がけてきた数多くのデータ復旧事例で、HDDに生じるハードウェアの故障で最も多いのは「不良セクタ」です。
HDDはプラッタ表面に塗布された磁性体に対し磁気でデータを記録する仕組みですが、経年劣化により部分的に磁性体が剥離したり、正しく磁力を保持できなくなったりすることがあります。
すると、その部分は不良セクタとなり、その部分での読み書きができなくなってしまうのです。

データを読み書きするための磁気ヘッドにトラブルが生じることもよくあります。
例えば、HDDからカチカチという異音が鳴り続けるようなケースでは、磁気ヘッドが自分の位置を決めるための「サーボ情報」と呼ばれるデータを読み出せず、結果としてヘッドとつながっているアームという部品がストッパに当たってしまうことで音が鳴っています。この場合、ヘッド交換などの物理処置が必要になります。

また、ヘッドと記録面であるプラッタが接触してプラッタに傷(スクラッチ)が入ることもあります。傷がついた部分は磁性体が剥離してしまい、データを読み出すことができなくなります。

ハードウェアの故障については、以下で詳しく説明しています。
HDDの障害

HDDのトラブルを未然に防ぐために気を付けるべきこと

前述のように、HDDのトラブルはハードウェアの故障と人為的ミスが大半を占めます。
ハードウェアの故障の場合、事前に兆候が見られるものもあるため、それを見逃さないことで致命的なデータ消失を未然に防ぐことができる可能性が高まります。

ここでは、ユーザーとしてどのような点に気を付ければよいのか、また実際にトラブルが生じた場合にどう対処すればよいのかを見ていくことにします。

サインを見逃さない!HDDのトラブルの予兆とは

HDD自体は中身を見ることができないため、直接の目視により故障を発見することは多くありません。
しかし、HDDに何かしらの問題が生じると、それは別の形で表面化してきます。
例えば、HDDに不良セクタがあると、OSが正常に起動しない、PCがフリーズする、ファイル/フォルダが開けない、コピーができないなどのシステムエラーが見られるようになります。

このように表面的にはソフト面での動作不具合であっても、それがHDDのトラブルに起因するケースは少なくありません。
こういったエラーは障害初期にはたまに出る程度ですが、使用を続けると頻発するようになり、最終的にはHDDが認識されないといった重度障害に発展します。

そのため、予兆を見逃さず、大きなトラブルになる前に早めに対応することが重要になりますが、「S.M.A.R.T.」というHDDの自己診断機能を見ることで、不調の兆候に気づける場合があります。

Buffalo製品のHDDを使用している場合、この「S.M.A.R.T.」情報を監視して以上があった場合に通知してくれる無料サービスが利用できます。
http://buffalo.jp/products/catalog/storage/mimamori-aizu/

その他メーカーのHDDを利用している場合でも、「S.M.A.R.T.」情報を確認できるソフトウェアがありますので、PCにインストールしておくと良いでしょう。

HDD自体から異音がするような場合は、すぐにHDDの故障を疑うことができる分かりやすいケースです。
いつもと違う音(カリカリ、ガリガリ、カタカタなど)がする場合、HDDが故障する寸前である可能性ありますので、すぐに使用を止めて専門業者に相談してください。

人為的ミスは運用ルールでも改善できる

ハードウェアの故障の場合は小さなサインに気を付けることが効果的な対策です。
一方で、人為的ミスの対策としては、定期的なバックアップ、運用ルールの改善や徹底、担当者への社内教育などが挙げられます。

例えば、RAID装置のHDD交換ではちょっとした手順のミスがデータ消失につながることもあるため、運用ルールを定めた上で担当者の教育をしっかり行うことで、そうしたトラブルを未然に防げるようになります。
また、専門の担当者だけでなく、一般社員などのユーザーに対するルール設定も必要です。ファイルサーバー上のファイルを誤って削除するなどのヒューマンエラーは、関わる全ての人に対してルールの適用や教育を行うことで改善が期待できます。

トラブルが発生したときに悪化させないためには

トラブルのサインに気が付いたとき、あるいは実際にトラブルが生じてしまった場合、状況をさらに悪化させないためにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

その答えは、「障害発生時の状態を保全する」ということに尽きます。

  • PCの起動時にたまにエラーが出るが内容がわからないので誤魔化しながら使い続ける
  • HDDからカラカラ聞き慣れない音がするがデータにはアクセスできるのでそのまま放置する
  • 間違ってフォーマットしてしまい焦ってバックアップを書き戻したが、データが古く新しいデータがなくなってしまった
  • RAID装置で2本のディスクにエラーが出て止まったが、とりあえずディスクを抜き差しして再起動してみる
など、これらのよくある間違いはデータ復旧の可能性を下げる行為で、最悪の場合復旧不可能となることもあります。

障害が発生した場合、データの読み書きや、障害ディスクへのデータ復旧ソフトのインストールなども、状況保全の観点から絶対に避けましょう。
水没した場合も、対応を誤りやすいと言えます。「機械は水に弱いので乾燥させたほうがいい」と考えがちですが、下手に乾燥させると、それがプラッタ表面に悪影響を与えるので、なるべく濡らしたままの状態を維持することが求められます。

大切なのは、焦らずに手を止め、現状を維持したまま速やかに専門家に相談すること。その自制心が、後々のデータ復旧の可能性を高めてくれるのです。

データを失った際に注意すべきことについて、以下で紹介しています。
PCやサーバーに障害が発生した場合の注意点

データ復旧に必要なプロセスと設備

HDDトラブルの原因や防止策についてこれまで述べてきましたが、実際にトラブルが発生した場合、どのようなプロセスを経てHDDのデータ復旧が行われているのでしょうか。
一般的なデータ復旧の流れや、その過程で必要となる設備・ノウハウなどについても紹介します。

HDDのデータ復旧におけるプロセス概要

HDDのデータ復旧作業は、物理障害の有無によってHDDへのアプローチ方法が変わってきます。
そのため、最初に必要なのは正確な診断をすることです。これには、利用者からのヒアリングに加え、スピンアップ、初期化、データアクセスの際のHDDの動作音を聞いたり、振動状態を確認したりするような作業も含まれます。言うなれば、問診や聴診といった内科医の診察に近い行為を通じて、適切な診断を下すことになるわけです。

データエリアにアクセスできる場合には速やかにクローンディスクを作成します。これは、読み出し可能なデータをセクタtoセクタで別のHDDにデータをコピーし、障害ディスクと可能な限り同じディスクをもう1台作成する作業です。
クローンディスクを作成するのは、障害ディスクをそのまま使用して復旧作業を行うと、状況が悪化してデータが取り出せなくなる危険があるためです。

そのままデータエリアにアクセスできない場合、アクセスを妨げている原因を切り分けし、修復を行います。 データアクセスを妨げている原因には様々なものがありますが、基板不良、ファームウェア破損、ヘッド破損(劣化)、不良セクタなどがよくある症状です。
部品交換が必要な場合、互換性のあるドナー用HDDを用意し、部品を取り出して交換を行います。

データ復旧には専門的なツールと設備が不可欠

こうしたHDDのデータ復旧作業を行うためには、それに応じた専門的なツールや設備が必要です。
クローンディスク作成に主に使用されるのはPC-3000というプロ向けツールで、メーカーやモデルごとに異なる様々な症状に対応できます。様々なことに対応できる分、適切な処置を行うためにはHDDの構造に対する一般的な知識だけでなく、メーカーごとのファームウェアの構造や構成要素についてなど高度な知識が求められます。

また、ハード面での設備も欠かせません。HDDの開封作業を行うためには防塵機能のあるクリーンルームやクリーンベンチが不可欠です。
さらに、重要なデータの記録されたHDDを預かって作業を進める以上、機密保持の契約やその管理体制も必要です。品質とセキュリティの国際規格であるISO9001や27001の取得状況などはそのための一つの判断材料になります。

一部の職人技だけではなく全体の技術水準の向上が求められるデータ復旧

HDDのデータ復旧には、音や振動などから状態を診断するといった匠の技が要求される側面があります。 同時に、新旧さまざまな種類のHDDに対応したり、最新ツールを使いこなしたりするためには、個々人の職人技だけに頼るわけにもいきません。これらのノウハウを蓄積し、エンジニア間で共有するなど、担当者によって診断/作業結果に差がでることのないようにする必要があります。

アドバンスデザインでは、「データを復旧する」という最大の目的を達成するため、エンジニア個人のスキルと社内全体の技術水準の向上を両立させる仕組みを構築しています。

まとめ

国内だけでも年間80万台以上のデータ消失トラブルが発生しているHDD。どのような種類のトラブルがあるかを知り、普段から異変の予兆に気を付けることで、致命的なデータ消失に備えることが大切です。
そして、実際にトラブルが発生した場合には、データ復旧の専門家への早めの相談が不可欠。高度なノウハウと技術に加え、専門的なツールや設備を駆使したデータ復旧により、重要なデータを取り戻せる可能性が高まります。


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